スーザン・ケイン:内向型人間の『静かな力』

susan cain

内向型の人と聞くと、何を思い浮かべますか?恥ずかしがり屋、物静か、孤独、人前で話したり、リーダーになったりすることに怖気づく人・・・など、奇妙なことにそれはステレオタイプの羅列になります。内向型の人についてのあなたの理解がすべて間違っているとしたらどうでしょう。

NYタイムズのベストセラー「Quiet: The Power of Introverts in a World That Can’t Stop Talking(内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力)」の著者である、スーザン・ケインによると、これらのネガティブな思い込みは、外向型の人に関して広く浸透している文化的なバイアスに由来しています。彼女はこの偏見を払拭し、意識を高め、内向型人間の良さを世間に知ってもらうために、『Quiet Revolution(静かな革命)』というオンライン運動を始めました。

内向型の人の真の力と可能性について、そして企業がこのような人格タイプの人々をもっともよい形でサポートするにはどうすればいいのかについて、ケイン氏に話を聞きました。

 

内向型の人は刺激に敏感だが、必ずしも内気ではない

自称内向型人間として、『Quiet』を書くことは、ケイン氏にとって個人的なプロジェクトでした。一般企業で働いているとき、コミュニケーションの方法に違いがあり、それが頻繁に性別による違いだと誤って認識されていることに気づき、触発されました。

「今では誰もが内向型人間であることについて語っていますが、当時はそれを指す語彙さえありませんでした。ましてや、職場の全員の強みを活用できるようにする洞察などあるはずがありません。」とケイン氏は言います。

『内向型』とはどのような意味なのでしょう。一般的に思われているのに反して、内向型の人は必ずしも恥ずかしがり屋とか社交嫌いというわけではありません。内向型の人の多くは社交の場に参加し、ネットワーキングや人前で話すことも楽しみます。外向型の人と同じようにカリスマ性を持つことだってあります。

「内向型として区別するのは、過剰な刺激に対する感受性があるかということです。」とケイン氏は言います。「それに、深く、途切れない思考と小さなグループを好むことも挙げられます。」これにより、彼らは、個々の集中を要するクリエイティブな仕事に踏み入ることができます。外向型の人はエネルギーレベルの高い環境で燃料補給されるのに対し、内向型の人は長い散歩や読書など独りでの充電を好むことがよくあります。

ケイン氏は、およそ三分の一から半分の人が内向型であることを発見しました。実際、彼女のオンラインテストを受けるまで、あなたも自分が内向型であることに気づかないかもしれません。この性格タイプがとても一般的としたら、なぜこれほど誤解されたままなのでしょうか。

アメリカ社会は『外向的理想』を標準として扱うことでそれに特権を与えています、とケイン氏は言います。社交的でよく発言して、みんなの注目を得ているような人たちを称賛しますが、内向型の人の貴重な才能はしばしば見落とされます。

 

内向型の人は聞き上手

内向型人間の最大の財産のひとつは人の話を聞く才能です。優れたインタビューを見たことがあれば、人の話を聞くことは一種の技術であり、真の好奇心が求められることがわかります。これは内向型人間にとても適しています。なぜなら、彼らは理解すること、質問することが大好きだからです。この才能は企業にとっても資産となります。

「聞くことは奥深いのです。聞くことで、実際に貢献しなければならないことを見つけ、人々のアイデアを引き出し、そして、彼らのスキルを上手く使えるからです。」とケイン氏は説明します。

内向型の人はプロジェクトや課題に熱心に集中する能力に恵まれており、深い集中力を長時間に渡って持続することができます。

「私たちは皆、そのように集中する能力を失いつつあります。」とケイン氏は考えます。「内向型の人たちは生まれ持った性質があるのでそのスキルを容易に維持できることでしょう。」

 

外向性へのバイアスは私たちの生活に浸透している

ケイン氏は外向的になるよう推し進められる意識は普段の生活全体に組み込まれていると考えています。

「私たちが多くの時間を過ごす環境は、これらの理想によって形作られています。」と彼女は説明します。学校は特に分かりやすい例です。子どもたちはグループワークをすることを期待されます。騒々しい環境であまり静かに落ち着く時間もなく、次から次へと継ぎ目なく異なるアクティビティをこなさなくてはなりません。

「実際にどれくらい外向的かということでスコアをつけられ、社会的に評価されるのです。」とケイン氏は言います。「友だちは何人いますか?どれくらい参加していますか?これらすべての質問はあなたを誘導するものです。」

外向性へのバイアスは大人になっても続きます。開放的なフロアプラン、グループプロジェクト、頻繁な会議、さらには参加必須のチームビルディング活動などは、内向型の人を悩ませます。彼らが必要とする『集中する時間』を奪ってしまうからです。

子どもと同じように、働く大人でもグループワークと個人の特性を基準に評価されると彼らの成功の可能性に影響を与えるかもしれません。例えば、管理職の人たちは『リーダーは外向的である必要がある。』と思い込んでいますが、内向型の人たちも同様に効果的なリーダーシップのスキルをもつことが研究で示されています。ある研究では、内向型のCEOがリーダーとしてより優れているということさえ分かっています。

これは職場での『外向型の理想』の弊害を示す例です。リーダーは超社会的であるべきと多くの人が思い込んでいますが、内向型のリーダーは『人々の声に耳を傾け、彼らの才能を引き出し、信頼する傾向が高い』とケイン氏は言います。

 

内向型の人を職場でサポートできるように、評価方法とオフィススペースを再考する

よりインクルーシブ(包括的)でありたいと思う企業のために、ワークスペースを物理的に見直すことをケイン氏は勧めています。

開放的なフロアプランにはメリットがありますが、同時に気が散るというデメリットもあります。それは、内向型の人々にとって最大の不満の1つであるとケイン氏は言います。開放的なフロアプランの企業では、内向型の人たちが快適に働けるように、静かなエリアや壁やパーテーションに囲まれたワークスペースを提供することが役立ちます。これはもうひとつの問題、つまり『集中する時間を見つける』ことの解決にも役立ちます。

「内向型の人が本当に切望するのは、深い流れに没頭できる時間です。下を向いて、自分の仕事だけできるような時間です。」とケイン氏は説明します。「職場ではそれがとても難しいのです。絶えず何かに中断されるからです。」

 

定期的に『会議なし』の日を設定するなど、邪魔されない仕事の時間を作ることを検討してみてください。これは企業にとってもメリットとなります。内向型の人が深い考察をすると、ユニークな視点やアイデアにつながることがよくあります。

職場での評価に関しては、マネージャーは個人の特性だけでなく、仕事のパフォーマンスで測れる側面を確実に評価することでサポートできます。

『どのタイプの特性を持っているのか、そんなこと重要ではない。』と言っているのではありません、とケイン氏は説明します。『私たちがその一方を過大評価し、他方を過小評価しているのではないか。』ということが言いたいのです。

最後に、職場で内向型の人々をサポートする最もよい方法のひとつは、彼らに何が必要か尋ねることです。内向型の人は対立を避ける傾向があります。外向的な基準についての懸念が高まることもこれに含まれます。

 

採用時にカリスマ性よりも深く見る

ただでさえ採用プロセスというのは大変なものですが、内向型の人はそれに追い打ちをかけるような課題に直面しているとケイン氏は言います。「面接で候補者がどれぐらいキラキラしているかで判断する傾向があるからです。」

これに対処するためにケイン氏が提案するのは、トップの候補者に自分のスキルを直接示す機会を与えることです。編集者のポジションに応募してきた人を実例に挙げています。彼女は面接はうまくこなしていたものの、特に目立っていたわけではありませんでした。しかしながら、彼女が演習を終えたとき、状況は劇的に変わりました。

「彼女の編集能力が信じられないほど素晴らしかっただけでなく、一緒に仕事をするのがとても楽しかったのです。」とケイン氏は回想します。「仕事を遂行する上で、実際のやり取りを通して、彼女の本当の姿が見えるようになりました。」

ケイン氏はまた、候補者が何人もの採用チームのメンバーと立て続けに行う面接についても注意を喚起しています。

「そのようなタフな状況下でもうまくやれることがとても重要になるポジションも確かにあります。」彼女は言います。「しかし、多くの仕事はそれに当てはまりません。これによって優れた人材も排除されてしまう可能性があります。」

 

企業は内向型の人を理解し、支援することを学んでいる

ケイン氏が2005年に『Quiet』の研究を始めて以来、公での議論に変化がありました。彼女の努力のお陰で、企業はやっと内向型の人の強みを認識し、受け入れるようになりました。

内向型の人は、多くの場合、高い集中力を持ち、好奇心が強く、創造的で、非常に効果的なリーダーです。新入社員から経営幹部まで、内向型の人たちはスポットライトを浴びる準備ができています。今こそ、彼らに輝いてもらう時です。

 

原文はこちら:Susan Cain: Debunking Myths About Introverts