『働きすぎ』を打破し、ワーク・ライフ・バランスを取り戻すには

Beat overworking and bring back work-life balance

週15時間勤務の人はどれぐらいいるでしょうか。エコノミストのジョン・メイナード・ケインズは21世紀には様々なものが自動化され、労働時間が短くなると予測していました。そして、暇な時間をどう使うかが一番の問題になると信じていました。

では現実はどうかというと、これまで以上に忙しくしています。米国のフルタイムの従業員は平均して週47時間働いています。日本ではさらにハードになって、働きすぎで死亡するという意味の『過労死』という言葉さえあります。一方、ミレニアル世代は『燃え尽き症候群世代』というレッテルを貼られています。『常時接続』の通信ツールのせいで、勤務時間外もずっとつながった状態にあるので過労やストレスが発生しやすい傾向があります。

『働きすぎ』が普通の状態になっているようです。しかし、長時間労働は本当に会社や従業員のためになっているのでしょうか。もしそうでなかったとしたら、どうやって『働きすぎ』を克服し、ワーク・ライフ・バランスを取り戻すことができるのでしょうか。

 

『働きすぎ』は本当に成果が上がるのか

週40時間労働制は米国の基準と考えられていますが、これは1914年頃、ヘンリー・フォードが始めたものです。当時、大きな論争の的となりましたが、フォードは従業員の労働時間を1日あたり9時間から8時間に減らし、給与は倍にしました。そして、その結果、ビジネスは活気づきました。他の会社もこの手法を取り入れ始め、すぐにスタンダードとなったのです。

しかしながら、当時は当時、今は今です。8時間労働なんて21世紀にはほとんど忘れ去れられていると言っても過言ではないかもしれません。今日、週60時間働く人もいれば、中には週100時間働いている人もいます。

労働時間を倍にしたら、生産性も正比例すると思っているなら考え直したほうがいいでしょう。複数の研究で、40時間以上働くと生産性が低下することが示されており、これは産業労働者だけでなく『知識労働者』にも当てはまります。別の研究では週60時間労働を8週間続けると、週40時間労働を超える部分の生産性は帳消しになることが分かっています。

それだけではありません。働きすぎはストレスや不安、うつ病、心臓疾患に直接関係しています。何らかの危機対応や期限に間に合わせるためなど、一時的な過労で短期の生産性を上げることはできますが、それはほんの稀に行う前提のみで有効です。それに、その後、チームが通常の生産性を回復するのにも時間がかかります。

 

『働きすぎ』を防ぐために雇用主ができること

米国において企業でフルタイムで働く人の66%が仕事と私生活のバランスがうまく取れていないと感じており、米国で就業している成人の33%は平均的に土日祝日に勤務しており、『働きすぎ』は生活の質に影響を与えています。

しかしながら、長時間労働への対策は単に5時に退社するというわけにはいきません。多くの場合、社員が長時間働くのには理由があります。企業文化、上層部のマネジメント、仕事量の不均等な配分、個人的な時間管理の問題などに関わる理由です。それでは、ワークライフバランスを取り戻すために、雇用者(管理者)として何ができるでしょうか。

まずは、以下のようなことを試してみてください。

  • 先例を作る。すべての従業員に明確な就労スケジュールを設定します。そして就労時間外に作業をしないように促します。勤務時間が終わったら退社し、週末や休暇中は作業やメールチェックをしないなど、明確な境界線を引いて、部下のお手本になるようにします。
  • 勤務時間外の仕事関連のコミュニケーションは控える。 緊急の場合を除き、勤務時間外に連絡を送信することは控えてください。多くの場合、従業員はよい印象を与えるために返信や対応しなければならないとプレッシャーを感じています。必要であればメールの下書きを作っておいて、送るのは翌朝にしましょう。勤務時間外に何かを送信する必要がある場合は、すぐに応答する必要がないことも伝えます。
  • 効率的な時間管理を実践する。時間をより有効に管理する方法として、毎週作業時間を確保するというものがあります。この時間はチャットやメールをオフにして、気が散らないようにし、生産性を向上させることができます。あるいは、チーム内で個人的な『オフィスアワー』を設定することを勧め、用がある人は指定の日時に会いに来られるようにします。
  • 従業員に有給休暇をとることを奨励する。 アメリカの労働者が2017年に繰り越せずに失った休暇は2億日以上にのぼります。休暇後の労働者は幸せで生産性が高いことを考えると、従業員が有給休暇をすべて利用することは、雇用側にとっても有益です。

 

『働きすぎ』を防ぐために従業員ができること

自分は残業することが多いと思う場合、コントロールを取り戻すために以下のヒントを参考にしてください。

  • 最初に大きなタスクを完了する。 To Doリストからできるだけ多くの項目を片付けようと思うと、小さいタスクから取り掛かってしまいがちになります。しかしながら、最も重要なタスクを最初に片付けることを試みてください。これは通常の勤務時間で帰宅できる助けとなるはずです。重要なことを後回しにすると、一日の終りになっても作業を続けなくてはならなくなります。
  • オフィスを離れる計画を入れる。 なかなか退社できない場合はエクササイズのクラスを予約したり、友人と夕食の約束をするなどします。夕方に予定を入れておくと、日中の生産性が向上し、通常の時間に退社せざるを得なくなります。
  • 線引をする。 退社しようとするときに、追加の業務に追われていると思ったら、適切な期待設定をします。つまり、自分が何時に退社する予定であって、その前に連絡を取る必要があることを周囲に伝えます。できれば、退社の際にアプリの通知はミュートにしましょう。そうすればチャットやメールに反応してしまうのを防げます。まず、あなた自身が自分の時間を大切にしなければ、他の人もそれを尊重してはくれないということを忘れないでください。
  • 必要な作業を再評価する。 毎週のチェックイン会議はメールで簡単に済ませられるのではないかなど、カレンダーを定期的に見直して、すべてのイベントが本当に必要かどうかを確認してください。すべての会議に物理的に出席する必要があるのか、自分の時間を作るためにどこを削られるのか考えてみましょう。

 

まとめ

私たちの多くが過労やストレスには慣れっこだと感じているかもしれませんが、実際には生産性に悪影響を与えることがよくあります。仕事を終らせるために40時間以上働かなければならない週もあるとは思います。しかしながら、『働きすぎ』が習慣化することは有益ではありません。

従業員全員が早い時間に退社できる方法を実践することは、雇用主と従業員の両者に恩恵をもたらします。結果的に皆が幸せで、健康で、そしてより生産的になれるのです。

 

原文はこちら:How to Beat Overworking and Bring Back Work-Life Balance