部下がついてくるマネージャーになるには

社会人になる前からたいていの人には『マネージャー』が存在します。それは子どもの頃の学校の先生やコーチ、大学の教授、インターンシップ中のスーパーバイザーなどいろいろです。それにも関わらず、どんなスキルがあればマネジメント力が高くなるのかを特定するのはなかなか難しい問題です。

ジュリー・ジュオ氏はFacebookのデザイン担当副社長です。CNBCの専門家であり、ブロガーであり、『The Making of Manager: What to do When Everyone Looks to You (管理職になること:皆に期待されているときにすべきこと)』の著者でもあります。

 

マネジメント能力は単に『上司になること』ではない

ジュオ氏は今やもてはやされている職場―Facebookでインターンとしてキャリアをスタートさせました。実際、彼女はFacebook初のインターンでした。25歳のときにマネージャーとなりましたが、参考にしようと読んだリーダーシップ系の本のほとんどはCEOや業界のトップなどキャリアの最高潮にある人々によって書かれたもので、マネージャー初心者に対するきめ細かいアドバイスはありませんでした。

「率直に言って、女性、特に有色人種の女性が書いたマネジメント関連の本が十分にないと思いました。」とジュオ氏は付け加えました。

「初めて管理職を任されたあのとき『The Making of a Manager』のような本があったらよかったのに・・・分かりやすくて、親近感が持てて、実際にそのステージにいる人たちにとって実用的な本が。」と彼女は言います。

「マネジメントとは、単に上司なるとか昇進するというだけではありません。それに、誰もが向いているというわけでもありません。でも大丈夫。」ジュオ氏はそう言って、読者には、大局的なアプローチを取り、マネジメントにおける日々の現実がそれにうまく合っているかどうかを確かめることを勧めています。これは彼女の最も実用的なアドバイスのひとつです。

 

優れたマネージャーは成功を楽しみつつも、スポットライトは喜んで他者に譲る

ジュオ氏は簡単な質問から始めます。「もしマネージャーになりたいと思うなら、あなたは特定の結果に到達することに満足を得ますか?それともその結果に到達する中で自分の果たす役割から満足を得ますか?」

優秀なマネージャーは人々と仕事をすることを心から楽しんでいます。それは職位がどうとかいうことではなく、チームが目標を達成できるようにすることです。皆のコラボレーションを促し、タスクを適正に委任し、仕事の境界線を考慮することなどが含まれます。

「通常、答えは『自分で仕事をする』ではありません。」とジュオ氏は注意します。「チームを育成すること。人々を指導することです。」

また、優秀なマネージャーは自分のエゴはどこかに放っておいて、喜んで一歩下がり、チームを輝かせます。

「スポットライトを浴びることや、最もエキサイティングで面白そうなことをすることではありません。」とジュオ氏は言います。「やらなければならないことをして、他の人やチームと働くことに大きな満足を感じることです。」

優れたマネージャーは、コーチのように、チームメンバーが彼らの弱点を克服しつつ、パフォーマンスを向上させ、才能を築き上げるのをサポートします。また、オープンな環境を整え、スキルの習得や問題の解決に苦労している従業員が気軽に相談できるようにします。

柔軟性はもう1つの大切な要素です。優れたマネージャーは自分ではワクワクしない仕事でも進んで引き受けます。ジュオ氏は例として採用を挙げましたが、これは時間がかかり、マネージャーは他の仕事ができなくなってしまいます。それでも、多くの場合必要な業務なのです。

「例えば、チームメンバーが5人足りない場合、採用にあなたの時間の70%を費やさない限り、望むゴールには到達できません。」と彼女は説明します。

 

万能のマネージャーはいない

「優れたリーダーやマネージャーになれないタイプの人という括りはないと思います。」とジュオ氏は言います。それでは自分あるいは他の人の中にある素質はどのように見つければよいのでしょう。

人に指導したり教えたりすることが好きな人はリーダーシップの役割に自然に引き寄せられるかもしれませんが、それでも『万能タイプ』というものは存在しません。例えば、内向型の人も外向型の人も同じようにマネージャーとして優秀になり得ます。異なる専門分野をバックグラウンドに持つ人も同様です。鍵は、仕事、ミッションそして自分のチームに対するその人の情熱です。

一般的に思われているのと違って、マネージャーはすべての答えを持っている必要はありません。同僚と信頼関係を築く上でのまた別の要素は、自分が知らないというを認めることです。

「私自身、すべてを知っているようなふりをしたことで、よりよいアイデアやコラボレーション、ブレーンストーミングを中断してしまった時期があります。」ジュオ氏は最初に管理職についた頃のことを振り返ります。

何もかもが完璧であるように振る舞っていると、他の人も同じような行動をするようになります。特に自分の部下はそうです。あなたは彼らから見ると大きな権限を持つポジションにいるわけですし、自分たちがどう振る舞うべきか、規範となるものは何かの手がかりとしてあなたのことを頼りにしているのです。」

「チームに助けてもらうことで、グループ全体の知識を活用できるようになり、私だけでは思いつくことのなかった素晴らしいアイデアを得られるのです。」

 

将来を計画するために自分自身を知る

社会人のどの段階においても、今、来年、5年後、そして10年後に自分が望むものについて広く考えることをジュオ氏は勧めます。

「自分がどこに行きたいのか、何が大切なのか、何にワクワクするのかさえわからない場合、正しい選択をするのは難しいでしょう。」とジュオ氏は言います。

管理職を検討している人はすべて、まず少しだけ試してみることをジュオ氏は勧めています。例えば、新入社員やインターンのメンターをするとか、チームミーティングを取りまとめるとか、新しいイニシアチブを立ち上げて管理することなどがあります。

このようなプロセスを経て、自分は自分の仕事に専念して、技術やスキルを磨いている方がいいと気づくかもしれません。管理職につかずインディビジュアル・コントリビューターとして仕事を続けることに何の問題もないとジュオ氏は強調します。

「それだって自分のキャリアをコントロールしていることに変わりないのです。」と彼女は説明します。「私たちは手札をいつも自分で選べるわけではありませんが、それに対するリアクションはコントロールできます。何に力を注ぐのか、どんな態度で物事に臨むのかということです。」

 

優秀なマネージャーを雇うには

ジュオ氏は管理職の候補者面接を行うとき、まず彼らの哲学について質問します。例えば、「マネージャーとしてあなたにとって最も重要なことは何ですか?」または「自分がうまくやっているかどうかは何を目安にしていますか?」

これらの問いに正解はありませんが、彼らの反応が、その候補者の世界観がチームに合っているかどうかを評価するのに役立つと言います。

どんな仕事にもいい時と悪い時があります。ジュオ氏は候補者に過去に職場で意見などの対立があった際にどのように対処したかの例を求めます。最高のマネージャーはそのような困難を学習の機会とみなすのだと彼女は指摘します。

「彼らはそれに気づいているのでしょうか?」彼女は尋ねます。「困難に出くわした時、自分たちを犠牲者と見るのか、それとも成長のチャンスと見るのか。このような出来事が彼らに学ぶ機会を与え、もしその知識があれば、過去に起こったことに対してどのように異なる対処をしていただろうか。」

最後にジュオ氏は候補者に彼らが多少の犠牲は払いつつも、チームの大きな利益のために戦ったことについて話してもらいます。

「その候補者が特定の状況で自分の信念を持ち、人々をまとめることができるかを知りたいです。」とジュオ氏は言います。「リーダーシップは役割ではなく質です。もし他の人があなたに喜んでついてくるのであれば、あなたにはリーダーシップがあるということです。リーダーシップがなければ誰もついてきませんから。」

 

マネジメントはアートでもありサイエンスでもある

ジュオ氏の洞察は優れたマネージャーの要素を明らかにします。彼らは内省的であり、自分の部下を第一とし、自分自身はスポットライトから一歩下がって、チーム全体が輝くようにします。明確なマネジメントの理念があり、成長の機会として困難な課題に取り組みます。そして、最も重要なことは、優秀なマネージャーは人々と仕事をすることを心から楽しんでいるということです。

マネージャーという役割はすべての人に適しているわけではありませんが、自分自身であれ他の誰かであれ、ジュオ氏の知見は成功のための資質を見極める重要なツールとして役立ちます。

原文はこちら:How to Be a Good Manager: An Interview With Julie Zhuo