職場における年齢差別:シニアワーカーに関する3つの間違った通説

アメリカ人の平均寿命は長くなり、より健康的な生活を送っています。これまで一般的だった引退の年齢を過ぎてもますます多くの人が働き続けています。労働市場における65歳以上の労働者の数は2026年までに急増すると予測されています。2018年の時点で、55歳以上の人々が新しい仕事のほぼ半分を占めました

より長く働くことは、収入を得ることから社会的なつながりを維持することまでいろいろな良い点があります。しかしながら、年齢差別は大きな問題で、そのような目標を実現することを妨げられたり、あるいは完全に押しのけられてしまったりする労働者もいます。これは同時に採用企業側が経験豊富な人材プールを見逃してしまうことも意味します。

一言で言うと、「シニア」の意味を再考する時が来たのです。私たちはもっと詳しく学ぶために、ペンシルバニア大学ウォートン・スクールのPeter Cappelli博士に話を伺いました。人事、公共政策、人材管理の専門家であるCappelli氏は、シニアワーカーを雇うことに関してよくある通説を示し、そしてそれが間違いであることを明らかにするのに役立つ重要なインサイトを教えてくれました。

 

年齢差別は一般的ですが、根拠のないものです

職場に限らず、それ以外のいたるところに年齢差別は蔓延している問題です。「ある意味、それは他の形態の差別よりも一般的です。」とCappelli氏は言います。事実、45歳以上の労働者の3分の2は年齢差別を経験したことがあると報告しています。

「差別には他と異なることへの恐れという共通のルーツがあります。」とCappelli氏は説明します。「何の証拠がなくても通説は存続し、自分自身でそれに矛盾する経験をすることもなく来ているのです。」

例えば、雇用主はシニアワーカーは高い給与しか受け入れないと思い込んでいるかもしれません。「もし、こちらが提示する給与を中高年の人たちは受け入れないだろうと思って最初から彼らを面接しないような雇用主だったら、その見解は変わらないでしょう。」とCappelli氏は言います。「でも、考えてみてください。彼らはその仕事の給与を分かって応募しています。もし無理だと思っていたら応募もしないでしょう。」

このような通説は広範な課題を生み出し、その結果、シニアワーカーは仕事に応募する際に偏見に直面したり、時期尚早な退職を余儀なくされていると感じている可能性があります。その一方でこのようにシニアワーカーを視界の外に追いやると、現実にそぐわないネガティブな先入観を永続させてしまいます。

「採用を成功させる上で、このような誤った思い込みは邪魔になります。なぜなら、シニアワーカーは雇用主が求めているもの、つまり対人関係に関する強力なスキルやトレーニングが不要なほどの職務経験をすべて備えているからです。」とCappelli氏は言います。

 

誤った通説 その1:シニアワーカーは定年までの日数を数えている

Cappelli氏によると、シニアワーカーに関しての最大の誤った通説は、彼らが『燃え尽きていて』、早く働くのをやめたいと思っているという内容です。「もちろん、燃え尽きている可能性もあります。誰だって同じ事を長い間続けていると飽きるものです。これは、年配の労働者に限ったことではありません。」とCappelli氏は言います。実際、多くのシニアワーカーはお金を稼ぐ目的だけでなく、自分のキャリアも広げたいと望んでいます。

Cappelli氏がジョージタウン大学のBill Novelli教授と共著した「シニアワーカーのマネジメント」では、シニアワーカーが求めることは、年齢に関係なく私たちみんなが求めているものと同じであることを発見しました。つまり、親しみやすい同僚、尊敬、それに自分のスキルを意味のあるプロジェクトに活かせる機会などです。また、仕事を持つことで、精神的にも肉体的にも活発であり続けられ、社会的つながりを保てることも見つけました。

結局のところ、シニアワーカーの多くは、第二の人生を楽しむ柔軟性も欲しいということで、アルバイトやパートタイムの仕事を好みつつ、仕事は続けたいと思っています。

 

誤った通説 その2:シニアワーカーは現代のスキルを持っていない

もうひとつの一般的な誤った通説は、シニアワーカーは現代の職場でうまく仕事をこなすために必要なスキルを持っていないということです。

Cappelli氏がまず指摘したのは、多くの中高年アメリカ人がこれまで30年以上に渡って自宅でコンピュータを使用してきたことです。私たちは、電子メール、スマートフォン、電子ブック、バーチャルアシスタントなどを含むデジタルの世界に住んでいます。そして、50〜64歳のアメリカ人は、全人口と同じぐらいの比率で今日のテクノロジーに頼っているのです

さらに、多くのシニアワーカーは専門的に学び、成長し続けたいという願望を示していています。『燃え尽き』からは程遠く、彼らは長年培った専門知識や経験、クリティカル・シンキングのスキルを活かせる仕事をうまくこなし、新しい、市場性のあるスキルを学びながら彼らの才能を使うことを楽しみにしています。

 

誤った通説 その3:シニアワーカーは年下の上司を嫌う

しかし、シニアワーカーは年下の上司につくことを不快に思うことはないのでしょうか?

Cappelli氏は話を逆の立場から示唆します。年下の上司の中には自分よりも経験のある人たちを管理することに不快感を覚える人がいるかもしれない、と。この誤った通説は年功序列を意味し、今日の多世代職場では時代遅れになっています。

「年長の部下が自分よりずっと若い人からの指示を受け入れるのに抵抗を覚える可能性はあります。」しかし、若い上司が彼らをそれにどう対応するかによって、厳しい状況を緩和できるとCappelli氏は主張します。「上司があらゆる年齢層の従業員の知識を尊重していけば、シニアワーカーもそれほど憤慨することはないでしょう。」

若い管理職とシニアワーカーの間のポジティブな関係を奨励することは、リーダーシップについての伝統的な考え方を覆し、年齢主義の思い込みへの挑戦となります。「差別は自分と違うことへの恐れ、そして自分と近い人たちとの付き合いやすさという共通のルーツを持っています。」とCappelli氏は言います。「相手と出会うことがなく、相手のことを知らないほど、その偏見は強くなります。」

シニアワーカーと若い管理職の両方をサポートすることで、雇用主は職場での新しい序列のモデルを提供し、この偏見の解消に積極的に挑みます。

 

シニアワーカーを惹きつけ、彼らが新しい役割で成功するのを助ける

労働力の変化にも関わらず、多くの人は誰もが65歳で引退するものだと思っています。65歳というのは、1930年代に米国社会保障局によって設定された引退年齢です。Cappelli氏はこれが任意の数字であることを指摘します。特に、今では人々はもっと長生きになっています。雇用主がシニアワーカーのことを考慮に入れないことは損失を意味します。「つまり、労働力の大きな部分が見えていないということですから。」とCappelli氏は言います。

しかし、この分野についての誤った通説を明らかにしようとすると、「他のグループからと同じようなシニアワーカーからのプッシュバックはありませんでした。」と彼は説明します。年齢差別は他の形態の差別、つまり、人種差別や性別の差別と比べると同じレベルの関心を得られません。

雇用主が「より優れた対人関係スキルと成熟度」を含めて、シニアワーカーを雇用する利点を学ぶにつれて、この状況が変わることをCappelli氏は願っています。職場でのソフトスキルに対する需要は高まっており、シニアワーカーはこれらのニーズを満たすのに適しています。

オープンになることとコミュニケーションがシニアワーカーのリクルーティングにおいて重要です、とCappelli氏は言います。そして雇用主はこの人材プールに対して自分が持っているかもしれない無意識の偏見に気づかなければなりません。例えば、給与やシフトの面でシニアワーカーが望んでいることを採用担当者は当然分かっていると思ってはいけません。そして、これはお互いが努力する必要があります。つまり、(シニアの)求職者は採用プロセスにおいて、しっかり発言し、昇進や年下の上司を持つことなどの問題について自分の希望を示さなくてはなりません。

この豊かな人材プールを利用したいけれど、どこから始めればよいのか分からないという場合、「シニアワーカーの採用は、他のグループの採用とそれほど変わりません、ただ、これまでミレニアル世代に向けられていたエネルギーのほんの一部を切り取り、シニアワーカーのもっと大きなグループに向ければいいのです。」とCappelli氏は言います。「彼らを見つけて、あなたが彼らに興味を持っているというメッセージを送れば、応募はやってくるでしょう。」

 

原文はこちら:Age Discrimination in the Workplace: Three Myths About Older Workers, Debunked